厚生労働省に「成年後見制度利用促進専門家会議」が設置されていて、2021年8月23日の第10回会議では、各市町村でバラバラになっている後見報酬に対する助成について、「全国どこでも後見人が一定の基準に基づいた報酬を受けられるよう助成制度を見直すべき」との意見が出ました。
<申立費用>
成年後見制度の利用でまずハードルになるのが申立費用です。
申立費用の負担ができない場合、成年後見の利用環境が整っているのに申立てができないケースがあります。
<後見報酬>
後見報酬は実際、かけた労力・費用と報酬がきちんと対応していません。
そもそも後見業務で行うべき事務が明確化されておらず、かつ、周辺事務や作業は評価が低い(もしくは評価されない)ため、熱心に被後見人の”世話”をする後見人ほど多くの時間を費やして低い報酬を受け取ることになりがちです。
報酬は基本的に本人(被後見人)の財産の中から支払われるため、十分な財産のない方の場合、後見の引き受け手が見つからない可能性があります。そうなると、なんとか申立てできたとしても、後見の利用ができない状態になってしまいます。
なお、富山市では「成年後見制度利用支援事業」として助成制度を設けています。
身寄りがない方でも経済的に困窮している方でも申し立てを行うことができるよう、一定の条件のもとで富山市の助成が受けられます。
助成制度の利用については富山市の担当部署で丁寧に教えていただけますが、実際の利用に当たってわからないことなどがあれば、当NPOにご相談ください。
今後も会議は重ねられていくものと思われますが、成年後見制度がもっと利用しやすく改善されていくことを切に願っています。
以下、福祉新聞HPより引用(https://www.fukushishimbun.co.jp/topics/26376)
成年後見制度の助成制度に見直し論が浮上 厚労省の専門家会議
8/31(火) 10:02配信
意思能力の低下した認知症高齢者や知的障害者らの権利行使を支える成年後見制度に関連し、申し立て費用などの助成制度を見直すよう求める意見が8月23日、「成年後見制度利用促進専門家会議」(座長=大森彌・東京大名誉教授)で浮上した。
現在、助成条件や額が市町村によって異なっており、被後見人が転居した場合に支障が出る例もある。委員の一人、伊東香織・岡山県倉敷市長は「全国どこでも後見人が一定の基準に基づいた報酬を受けられるよう助成制度を見直すべきだ」と話した。
同会議は7月末、成年後見制度を含む権利擁護を「地域共生社会の実現に向けた活動」と位置付ける中間報告をまとめた。
社会福祉法人や所定の研修を受けた市民など多様な主体が後見人になることを想定。助け合いの要素を強める方向性を打ち出したが、無償や低額での互助に依存することへの異論もある。
伊東市長は「今後、多様な主体が後見人として活動できる環境を整備するためにも、被後見人の資力の有無に関わらず、安心して利用できる制度にすべきだ」と訴えた。
中村健治・北海道社会福祉協議会事務局長も「低所得者も安心して利用できるための費用助成の拡充、スポット的な成年後見制度の利用などを検討していただきたい」と主張した。 また、福祉サービスの利用援助、預金の出し入れや見守り活動を含む「日常生活自立支援事業」については、現在、市町村行政が関与する仕組みになっていないことを問題視。例えば、同事業から成年後見制度に移るケースについては、都道府県社協の審査会ではなく市町村が検討することが有効だとした。
同会議は2022年度からの国の成年後見制度利用促進計画に反映させるため、年内に最終報告をまとめる。後見人が受け取る報酬の考え方も論点になっていて、9月29日のワーキングチームで議論する。
報酬の額は現在、後見人が実施した事務をもとに、家裁が後から決めている。月に2万~3万円が相場とされる。報酬算定の根拠が不明確だとの批判もかねて上がっていた。