2025.6.9 認知症の方が所有する住宅について

先日、認知症の方の名義になっている住宅を売却することができるかどうか、というご相談がありました。

少し前のニュースになりますが、認知症の方が所有する住宅が全国で推計221万戸を超える、との記事が出ていました。

認知症で意思表示ができなくなると、住宅を売却したいと思っても売買契約を締結することが難しくなってしまいます。上記の数は今後さらに増えていく見込みで、2040年には280万戸まで増える、とのことです。

成年後見制度を利用することで、家庭裁判所の許可を求めつつ、住宅の売買契約ができる可能性があります。
当NPO法人でも、不動産はあるが現金が少ないため、ご自身の医療費や施設使用料の支払いができない場合などに、後見人等として住宅などの不動産の売却を行うことがあります。
現金化する必要があること、本人が自宅に戻ることがないこと、売買代金が適正であることなど、家庭裁判所に住宅売却の必要性を説明して、許可が得られた場合に売却することができます。

なお、該当記事(朝日新聞)は下の通りです。

認知症の人所有の住宅、200万戸超と試算 増える空き家に対策急務

片田貴也2023年4月1日 10時00分

全国で空き家の増加が問題になっている。その要因の一つが、所有者が認知症になり、意思判断ができないため、売却や解体ができないことだ。民間の試算では、認知症の人が所有する住宅は2021年時点で221万戸あり、40年には280万戸になると見込まれる。

第一生命経済研究所は21年、総務省の統計や年齢別の認知症有病率などを元に、認知症の人が所有する住宅の試算を公表した。18年時点で210万戸、21年時点で221万戸あると推計。40年時点では280万戸まで増加すると試算した。

 同研究所の星野卓也主任エコノミストは「個人で情報収集して対策をするのは限界がある。行政や業界団体が、親が認知症になる前の対策として家族信託や任意後見制度などの制度を周知や進める必要がある」と指摘する。

 5年ごとの総務省の住宅・土地統計調査(2018年)によると、空き家は全国に849万戸あり、住宅の総数に占める割合は13・6%。野村総合研究所の予測では、空き家の取り壊しが進まない場合、38年にはさらに31・5%に上昇する。

 特に、持ち家率が高い団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる25年以降、急増する恐れがある。厚生労働省の推計では、高齢者の認知症患者は、12年は462万人だったが25年には約700万人と、高齢者の約5人に1人になると見込まれる。

 空き家問題に詳しい明治大の野澤千絵教授(都市計画)は「今後、所有者が認知症になるケースが増えると、処分困難な空き家も増える可能性がある。団塊世代の高齢化が、空き家問題にも大きく影響してくる」と警鐘を鳴らす。

2025.5.21 県民ボランティア総合支援センターの交流会に参加しました

富山県民ボランティア総合支援センター主催の交流会に参加ました。

県内の6つのボランディア団体が参加し、今回のテーマ「活動場所」について意見交換を行いました。

皆さん地域の公民館を借りたり、県内で開催されるイベントに参加される等、低予算で活動できるよう工夫されていました。

他にも、広報活動や抱えている問題点について意見交換を行い、とても貴重なお話を伺うことができました。

参加団体のボランティアの内容はそれぞれ多様でしたが、成年後見制度について知っていただくよいきっかけになったと思います。

今後も様々な団体が連携してよりよい活動ができるよう、積極的に活動していきたいと考えています。

2025.6.1 後見人の身元保証人引き受けについて

 医療・福祉施設への入所・入院時に身元保証人が求められることがあります。身元保証の内容はそれぞれの施設でやや異なりますが、当NPO法人は、後見人が身元保証人を引き受けることは適切ではないと考えています。後見人が本人について生じた債務や損害賠償の責任まで背負うことは後見業務とは言えないからです。
 施設側に求められるままに身元保証人になる後見人がいるとすれば、入所・入院手続がスムーズに進むから、と致し方なく引き受けているのかもしれません。しかし、損害賠償に関する連帯保証の内容が含まれている場合などでは、いざというときに大きなトラブルにならないよう施設側も注意が必要です。

 それぞれの施設で身元保証人に求める保証の内容の中心は「支払い」と「死亡時」ではないでしょうか。

 「支払い」については、後見業務の1つが財産管理であることから、医療費・施設利用費等の必要な支払いについては、後見人が本人の財産の中から適切に「支払い」を行います。もし、入所・入院時に支払能力が不足する場合には、その時点で施設への説明が必要となります。後見人がついていることで適切な支払いが担保されていると考えていただければ有り難いと思います。

 「死亡時」については、後見の場合には法律の範囲内で一定の行為が認められていることから、これも後見業務として適切に対応されることになります。残念ながら、補助人や保佐人には後見人のような死後事務に関する法律上の規定がありませんが、民法上の委任の規定にしたがって事務処理をすることになります。

 当NPO法人は、基本的に身元保証人となることはできませんが、それぞれの施設で身元保証人に求められていることについて、後見人としてできることを説明してご理解をいただいています。
 当NPO法人では、過去に、公営住宅への入居条件としてNPO理事が個人で保証人とならざるを得なかったことがありましたが、相手方が自治体であること、保証の限度額があることなど、一定の要件のもとでの引き受けでした。身元保証が本人の生活改善のためのハードルとならず、同時に、後見人が保証リスクを負う必要がないよう、行政による支援がなされる時代がくることを期待しています。

 なお、保証料の支払いが可能な方については、身元保証人の引き受け手の紹介もしています。身元保証人がいない場合は、ご相談ください。

2025.5.13 高齢者がトラブルに巻き込まれている「リースバック」とは?

                               2025年5月13日 日本経済新聞より

持ち家の売却後に賃貸で住み続ける「リースバック」を巡り、高齢者が巻き込まれる消費者トラブルが急増しています。

リースバックは引っ越しすることなくご自宅売却後も賃貸で住み続けることができる上、住宅ローンや固定資産税が不要となるため、老後の生活資金を確保できる手段として高齢世代の関心を集めていました。

しかし、定期借家契約を結んだ場合を結んだ場合、更新が可能な普通借家契約と異なり通常2~3年の期間満了後は退居しなければならないため、新たな賃貸物件を探しが必要となり、長く住み続けたい場合には適さないのが実情と言われています。

「契約内容をよく理解していないままにサインをしてしまった」という声も多く聞かれています。

高齢者にとっては、契約書の内容を理解することは難しく、特に今回のリースバックのような新しいサービスの契約をする際には注意が必要だと言えます。

成年後見人にとって、持ち家などの財産の管理、施設入所や介護・福祉サービスの契約、施設入所後の空き家の管理等、ご本人の生活の拠点を確保し安定した生活を目指すことは重要な使命の1つです。

高齢者からこういったトラブルを防ぐためにも、成年後見制度は有効だと考えています。

2025.5.7 南砺市の施設を訪問しました

新しく受任することになった被後見人の方との面談ため、南砺市の施設に行ってきました。

ご本人とお会いし、後見業務としてやってもらいたいこと、現在心配なこと、困っていることなどを伺いました。

ご本人から「自宅がどうなっているか心配」とのお話があり、空家となっているご自宅の管理もしていくという説明をしました。

また、ケアマネさん、相談員さんからご本人の状況や健康状態を伺い、施設費の支払いや今後の関わり等を話し合いました。

「入所されたばかりなこともあり衣類が不足していて、夏物衣類も全くないので準備してほしい」とのお話があり、早速ご本人へ依頼衣類をお届けする手配をしました。

今後も施設でご本人が安心して過ごしていけるよう、後見人としてサポートしていきます。

2025.4.26 全国介護事業者連盟 障害事業福祉部会 富山県支部の設立総会に出席しました

一般社団法人全国介護事業者連盟(以下、介事連)富山県支部の年次総会、同 障害事業福祉部会の設立総会が行われました。当NPO法人も来賓としてご招待いただき、理事が出席させていただきました。

官公庁、業界団体、介護・障害福祉事業経営者、地元企業等が参加し、障害福祉の現状や問題点等について、現状や活動等について講演が行われました。

介事連は平成30年に設立され、持続可能な介護保険制度の実現支援に向け、医療との連携を図り、介護現場視点による制度・政策への提言・情報発信を行う連盟として、全国47支部を展開しています。

成年後見人として障害福祉と関わっている当法人にとっても、超高齢化社会という国家的課題を乗り越えるために「持続可能な社会保障制度の確立の実現」を目標とされている介事連の取り組みには非常に賛同することが多く、今回の総会に出席し非常に貴重なお話を伺うことができました。

今後も様々な障害福祉分野の会合や勉強会等に積極的に参加し、介護事業者の皆様をサポートできるよう努めていきたいと思います。

2025.4.14 新年度1回目の定例会を行いました。

本日、オンライン3名を含む全スタッフが参加して新年度1回目の定例会を行いました。定例会では、県外在住のアドバイザーにもオンラインで参加してもらい、種々の問題についてご意見を伺っています。

4月1日から家庭裁判所へ提出する報告書類書式が一新したため、新書式への対応について確認を行った後、活動できるよう情報共有、意見交換を行いました。

また、新規に受任を予定をしている方の状況も共有し、受任後すぐに対応できるように話し合いを行いました。

当法人では、受任前からご親族や関係者からお話を伺い、受任後にすぐに非後見人の方をサポートできるよう入念な準備を行っております。

「成年後見の申立てはどうすればよい?」「成年後見制度を利用したらどうなる?」など成年後見に関する疑問や質問には、個別相談を行っておりますので、お気軽にお問合せください。

2025.3.13 法人後見連絡会に参加しました

とやま福祉後見サポートセンター(富山市社会福祉協議会)主催の法人後見連絡会(成年後見セミナー)に参加しました。

富山県内で法人後見を受任している法人を中心に6団体が参加し、成年後見についての弁護士による講義や法人後見の事例紹介と意見交換がありました。

 資産が少ない方や身寄りのない方など、どの団体でも同じような課題・問題点を抱えており、今後も行政や各団体が協力しながら成年後見を行っていきたいと意見を交わしました。

当法人でも資産が全くない方、身寄りのない方、親族がいても世話できない方の成年後見を受任しており、参考となるご意見をいただきました。

被後見人の方が安心して過ごしていただけるよう、このような機会を通して、これからも広く学んでいきたいと思います。

2025.2.17 高齢者施設の職員を対象としたセミナーを行いました

県内の高齢者福祉施設様からご依頼があり、居宅事業を担当されているケアマネさんなどの職員を対象とした成年後見セミナーを行いました。写真の通り、今回はオンラインでのセミナーでした。

身寄りのない方が入所されることが増えてきているとのことで、後見人の仕事内容や法定後見の申し立てについてご説明しました。

事前に次のような質問をいただいていましたが、現場で仕事されている方たちにとって成年後見のどのようなところがわかりにくいのか、これをどう説明すればいいか、改めて考えさせられ、ずいぶん勉強になりました。
・当NPOの体制(当多職種連携について)
・後見人・保佐人・補助人のできること、できないこと
・後見で対応に困ったこと
・申し立て手続きや申し立て費用
・身寄りのない方の看取りケアについて
・事務委任契約について
・医療同意と身元保証について

当NPOでは、福祉施設や医療・介護施設、各種団体へ出張して、成年後見に関する研修会やセミナー、相談会開催のご依頼を無料でお受けしております。
また、地域包括センターや施設の方からの個別案件のご相談にも対応しており、成年後見制度の利用を検討されているご家族へのご説明も行っています。
是非、お気軽にお声かけください。

2025.2.4 富山県内の施設での虐待事件のニュースについて

非常に残念なことですが、全国の施設や病院での入所者への虐待事件が後を絶ちません。  富山県の介護医療院で職員による高齢者への暴力・暴言があったことが報道されました。                                           富山県内でこのような事件が起こると、急に身近な感じがして身につまされます。

また、【下段】のように富山県内での障害者に対する虐待件数の報道もありました。相談支援専門員や福祉施設職員からの相談・通報が最も多いということです。
当NPO法人では、定期的に入所施設や病院でご本人の様子を確認し、ケアマネさんなど直接ご本人のお世話をされている方からもお話を伺って、ご本人に穏やかな毎日を過ごしていただけるように努めています。

                                    2024.12.26 北日本新聞より

                  

                                    2024.12.26 北日本新聞