後見人の身元保証人引き受けについて

 医療・福祉施設への入所・入院時に身元保証人が求められることがあります。身元保証の内容はそれぞれの施設でやや異なりますが、当NPO法人は、後見人が身元保証人を引き受けることは適切ではないと考えています。後見人が本人について生じた債務や損害賠償の責任まで背負うことは後見業務とは言えないからです。
 施設側に求められるままに身元保証人になる後見人がいるとすれば、入所・入院手続がスムーズに進むから、と致し方なく引き受けているのかもしれません。しかし、連帯保証の内容が含まれている場合などでは、いざというときに大きなトラブルにならないよう施設側も注意が必要です。

 それぞれの施設で身元保証人に求める保証の内容の中心は「支払い」と「死亡時」ではないでしょうか。

 「支払い」については、後見業務の1つが財産管理であることから、医療費・施設利用費等の必要な支払いについては、後見人が本人の財産の中から適切に「支払い」を行います。もし、入所・入院時に支払能力が不足する場合には、その時点で施設への説明が必要となります。後見人がついていることで適切な支払いが担保されていると考えていただければ有り難いと思います。

 「死亡時」については、後見の場合には法律の範囲内で一定の行為が認められていることから、これも後見業務として適切に対応されることになります。残念ながら、補助人や保佐人には後見人のような死後事務に関する法律上の規定がありませんが、民法上の委任の規定にしたがって事務処理をすることになります。

 当NPO法人は基本的に身元保証人となることはできませんが、それぞれの施設で身元保証人に求められていることについて、後見人としてできることを説明してご理解をいただいています。